環境に優しい農業を目指した、微生物農業資材(バクタモン)について、このページで専門的解説をしています。
- バクタモンとは
- バクタモンは、宇治科学研究所長吉岡藤作氏の発明によるもので、一微生物農剤の名称で昭和30年頃より試用されはじめた。特殊な微生物の特異な効果的作用を意識的に応用したもので、化学肥料を含むー般肥料と組み合わせて施用する場合に特に効果があり、土壌及び植物に作用して肥料効果を促進する作用がある。主体は強力な大型のリゾープス菌三種(黴の種類)が好む化学成分を備えている粉鉱に仕込んだ赤褐色の乾燥扮末である。その化学成分の大要は、無水珪酸72%、アルミナ13%、酸化鉄6%、石灰1%、苔土0.5%、窒素、燐酸、加里それぞれ0.1%である。微生物の数は1
gあたり約1億以上と言われ、またその微生物は強力に仕立ててあるので、病菌の微生物は天敵となって、バクタモンに負かされてしまうという興味ある抗生物質を分泌することが明らかになっている。バクタモンの微生物の多くは、胞子の形態で生きているので、相当長期間生存し、氷点下10℃以下でも死滅せず、また50℃以下において安全であり、3年を経過したものでも立派に効果が現れる。(出典:兵庫県立農業高等学校農業科、昭和51年度 兵庫県産業教育振興会助成による研究報告)
- バクタモンの特徴
- バクタモンの成分は、三種類の黴とー種類の酵母の胞子を100万個から300万個を鉱粉に仕込んだもので、三要素は0.1%ずつしか含まれていないため肥料ではない。バクタモンは基肥の際、全肥量混合して使用する。温度と水分があると菌が活動し約1週間で肥料を吸収繁殖、さらに1週間そのまま生存し、その後秋までに徐々に死亡分解する。そのため肥料の流亡を大幅に防止し、また無機質の化学窒素肥料が有機質に変化するため、肥料を100%活かしきることが出来る。バクタモンは、植物生長ホルモン類(各種のアミノ酸)ビタミンB類,各種の抗性物質、酵素群などを盛んに土中に放出して、作物に総合作用するため、各作物にいまだかつて見たことのない好ましい状態が現れ、驚異的品質向上ならびに甘味の大幅向上など、確実に収量増加に貢献する。
- バクタモンの効果
- (一)土壌との関係 @毎年使用するほど肥沃化する A堅い粘土地なども膨軟となる B老朽化(秋落)の防止に効果がある (二)肥料との関係 化学肥料の欠点を改善し、肥料の流亡を大幅に防ぎ肥効を高め永続する (三)土中微量要素との関係 @菌の生存中あるいは死後に、有機と無機の極めて複雑な(人工製造が困難な)微量要素が土中に年々放出される Aこれらの微量要素の総合作用こよって公害が殆んどなく、今までに考えられない驚くべき効果が現れる (四)堆肥との関係 堆肥に混用すると仕上りが非常に早まり、今までの堆肥より大きな効果がある (五)作物の生育との関係 @如何なる作物も必ず発芽発根し、さらに毛根の数が驚く程になり健菌が出来る Aその後の生育が極めて順調で、植傷みが極めて少なく、水稲、玉葱などの補植の手間がぐんと減る B成育不振の作物をすぐに改善し得る C逆に窒素過剰(出来過)を改善することも出来る D倒伏の防止に役立つ (六)病虫害との関係 @茎葉が堅く出来るため病虫害に犯され難い A根こぶ(根りゅう)病、稲熱病、モンパ、粗皮病、黒点病、モニリヤ病、斑点落葉病、ウドンコ病、稲葉枯病、黄化萎縮病、各種の黴の病気(腐敗病)、紋枯病、銀葉病、生理病(高接病)、その他病気に効果がある Bダニ防止、貝殻、その他にも効果がある (七)果実の玉のびと着色ならびに貯蔵力との関係 @果実の玉のぴが良くなる A着色が早まり、また色具合も鮮やかで光沢も良くなる B実の締りが良く、長期貯蔵が出来る (八)品質甘味との関係 @品質と甘味は確実にしかも驚く程向上し、香気も増し、商品価値が高まる A等級向上する (九)熟期との関係 一切の作物の熟期が年々早まり、年により霜害をまぬがれる (十)その他の事項 @加里や燐酸の肥効が強まるため日照不足の天候に左右され難い Aアミノ酸の複雑な働きによって開花授精稔実作用が強まり、シクナ病米などが極めて少なくなり、各作物の粒揃が良く、また大粒が多くなり目方も重く屑物が減少する
- 使用方法
- (一)バクタモンと肥料と混用(基肥と追肥の時は必ず肥料混用して使う) (二)バククモンのみ粉末のままで使用(窒素過剰を抑える時、病気の防除の時、着色を早める時) (三)バクタモンを水溶液または肥料とともに水に溶解して使用(葉面撒布(例 高接にバクタモン水)(例 栄養補給 バクタモンと肥料混合)もしくは地上撒布(例 栄養補給 バクタモンと肥料混合))
バクタモン解説図1
バクタモン解説図2